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「ほら、急げ瑠奈。入学式早々遅刻するぞ」 「それはやだ! かすが後ろ乗っけてってえ!」 「しょうがない奴め」 「やった!」 新しい制服に、新しい鞄、新しい靴。新品に身を包んで気持ちも新たに登校しようとした。 が、寝坊したので無理だった。昨晩、作詞を張り切り過ぎたのがいけなかった。 中学生の時からの友人はそこのところをよく理解してくれていて、こういったときには毎回お世話になっていた。 そしてこれからもしっかりお世話になりそうである。 「お前は高校生になっても変わらないな」 「そりゃあね。”高校生”に肩書が変わる以外に成長と言える成長もないんだから、変わるわけがないよ」 「屁理屈だな」 「ありがと!」 「褒めていない」 溜め息をつきながらも前でペダルをこいでくれるかすがには感謝している。 実際、二人分の体重と荷物って相当なものだろう。 かすがの黒と金の装飾の自転車のサイドに足をかけて跨って立ちながら、今日の予定を頭の中で組み立てる。 入場して、名前呼ばれたら返事して、校歌斉唱になるまでは寝て、校歌を歌って、退場して。 そこまで考えて、かすがに声をかけた。 「ねえ、今日はちゃんと参加してってよね」 「わかっている」 流石に入学式だからな、と息も乱さずに言うかすがは、流石、首筋に汗一つかいていない。 そんな自転車の後ろは、爽やかな風が吹き抜けていつも心地いい。 もしこいでいるのが私だったら、こうも爽やかにはいかなかっただろう。私は体力はあっても持久力が無いのだ。 「違うよ、そのあと!」 「……仮にも自分たちの入学式だぞ……今日は式がメインなんだからな」 |